2010年5月13日 (木)

遺伝, 脳, 環境の相互作用

 
 BPDのリスク因子は、 生物学的要因と環境的要因が 考えられます。

 生物学的要因には、 物理的脳, 化学的脳, 遺伝の3つの部分があります。

 物理的脳はハードウェアで、

 脳スキャンによって、 BPDの人の脳が 違うことが見られます。

 化学的脳はソフトウェアで、 神経伝達物質を通じて 行なわれる伝達です。

 このバランスが崩れると、 考え方, 感じ方, 振る舞い方が荒らされてしまいます。

 遺伝は青写真のようなもので、

 いくつかの遺伝子の 組み合わせによって、 BPDの発症の可能性が 高くなります。

 遺伝, 脳, 環境は、 相互に作用して BPDを生み出します。

 チョコレートケーキから 砂糖, 卵, 小麦粉を分離できないように、

 互いに織り合わさっているのです。

 相互作用の詳細については、 なお 分からないことが沢山あります。

 大事なのは、 ある人の環境が BPDを引き起こすとは 示されていないことです。

 フリーデル博士は こう書いています。

 「同じ虐待, 別離, 悪い子育てにさらされた 多くの人々が、

 境界性人格障害を発症せず、

 一部のBPD患者は こういった環境的リスク因子の どれも経験していない。」

 「ある人が 境界性人格障害を発するには、

 生物学的リスク因子と環境的リスク因子の、

 何らかの 決定的な組み合わせが 必要である可能性が 非常に高い。」

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー / E・ガン (星和書店) より〕
 

 最後の部分、 BPDの人の一部は 虐待や不適切な生育環境を 全く経験していない、

 というのは 注目すべきことです。

 以前は 親の育て方ばかりが 悪者にされてきましたが、

 生育歴には一切 問題がないケースも あるということです。
 

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2009年9月17日 (木)

ステップ10 (5)

 
(前の記事からの続き)

○よい例を示しましょう。

 子供はあなたの行動を 真似ることで学びます。

 あなたがスポンジのように、 BPDの人の 虐待を許してしまうと、

 子供はそうすることが 義務だと思ってしまいます。

 反対に あなたが鏡のように、

 BPDの人の行動を 写し返して非個人化すれば、 子供もそれを学ぶでしょう。

 親のBPD的行動は、子供のせいではないのだということを 教えましょう。

○BPDの人の 子供への行動に対して、 境界を設定しましょう。

 BPDの親の行動が、 子供たちを震え上がらせている 現実を認識させます。

 そして、 BPDの人には 大人の責任があって、

 子供へ影響を与えることに 気付くよう、 子供じみた言動から 引き戻します。

○子供たちが 自分の感情を 話すよう促し、

 できるだけ感情を 有効化してあげましょう。

 批判的にならず、 子供の話を聞きましょう。

 子供が 自分自身の知覚を 信じられるように助けましょう。

○子供には 一貫性を持ちましょう。

 約束は守りましょう。

 あなたを頼りにできるのだと 知らせましょう。

○自分自身の ニーズや願望があるからといって、 自分を責めるのはやめましょう。

○必要なら、 子供たちにセラピストを付けましょう。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(以上)
 

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2009年9月16日 (水)

ステップ10 (4)

 
(前の記事からの続き)

 BPDの人の虐待から 子供を守るための、 ポジティブで実践的な提案があります。

○non-BPDの人は、 BPDの人と虐待の話を付けることに 脅威を感じ、

 虐待を矮小化したり、 自分の力を 諦めたりすることがあります。

 BPD的行動は 大人にとっても 対処が極端に困難です。

 しかし、 子供にとっては より一層難しいのです。

 最初に 虐待が発生した時点で 真剣に受け止めましょう。

 無視すれば、 BPDの人に 虐待を繰り返すことを 許可してしまいます。

 一貫した境界を持ち、 間歇的な強化を 与えないようにしてください。

○BPDの人が 治療を求めるのを 援助しましょう。

 非難ではなく、 ポジティブなコメントを与えましょう。

 育児の支援をしましょう。

○子供が BPDの人の行動を 非個人化できるよう、 援助しましょう。

 年齢に相応しい 教育をしましょう。

 あるnon-BPDの人は、 幼い子供に こう語りました。

「ママは病気なんだよ。

 とっても悲しくなってしまうような 病気なんだ。

 ママは お前のしたことで、 怒ったり 泣いたりしたんじゃないんだ。

 ママは お前をとっても愛していて、 お前がママを 幸せにしてくれるんだ。」

 年長の子供には 別のアプローチが必要でしょう。

 けれども、 知的には理解できても、 感情のレベルで感じるのは 別のことです。

 彼らまだ子供なのです。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 

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2009年9月15日 (火)

ステップ10 (3)

 
(前の記事からの続き)

 BPDの人は 子供が自分の 思い通りであることを要求し、

 無条件に愛せないかもしれません。

・自分の不全感を補うため、 子供には完璧を要求する。

・自分だけがだめだと 感じたくないため、

 子供も 愚かで失敗ばかりし、 魅力がないということを求める。

・子供が 自分と異なる 感情や意見を持つと 脅かされる。

 身体的, 感情的虐待をしがちで、 極度に無視したりする。

・薬物乱用などの 情動的行動は、 BPDの人の子供の 安全や幸福を脅かす。

・極端に感情的になり、 言葉の暴力を振るう。

・自分のニーズで目一杯で、

 子供を他人の虐待から 守れなかったり、 守ろうとしなかったりする。

 以上の行動は、 意図的ではなくても 虐待と言えます。

 あなたが 子供の親族でなくても、

 子供の プラスのモデルになろうとする 熱意は、 子供を大いに助けます。

 思いやりや愛情だけが、 虐待を受けた子供の 支えになるのです。

 BPDの人は 自分の虐待に対して、 4つの基本的な態度を取ります。

・自分の行動が 虐待的であることを否定するか、 正当化する。

・落ち着いているときには 反省したりするが、

 良い方へは変わらず、 変化しないことの言い訳をする。

・自分に罪悪感を持って 恥じ、 自傷や自殺の素振りをする。

 それを更に後悔し、 悪循環に陥る。

・自分の不充分さを受け入れ、 子供との関係を育てるため、

 (セラピストと共に) 懸命に努力する。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 

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2009年9月14日 (月)

ステップ10 (2)

 
(前の記事からの続き)

 BPDの人は

 自分の子供のニーズ, 感情, 願望を 考慮できないかもしれません。

・自分の感情に 没頭してしまい、 子供の感情を 見逃してしまう。

・子供の感情が 自分のものと違うことに 腹を立て、

 バカにしたり 否定したりする。

・自分が好まない人と、 自分の子供が仲よくするのを 認めがたい。

 子供を通して 相手に仕返しするかもしれない。

・その時の気分次第で、 過度の干渉と 無視の間を揺れ動く。

・自分の気に入ることを している間だけ、 子供に気を遣う。

 BPDの人は 一貫性がなく、 子供を混乱させるかもしれません。

・子供が全て悪いか、 全て良いかの どちらかのように振る舞う。

 これは 子供の自尊心を傷つけ、 一貫した自己感覚を妨げる。

・愛情のスイッチを 切ったり入れたりする。

 子供は 人を信用できなくなってしまう。

・気分次第で 一貫しない規則を実行する。

 子供は 予測が立たず、 無力感を感じてしまう。

・子供に対する 責任の取り方が、 過剰だったり過少だったりする。

 BPDの人は 子供の正常な行動で 脅かされるかもしれません。

・子供が成長して 親に依存しなくなると、

 BPDの人は 見捨てられたと感じ、 抑うつ的になったり、 腹を立てたりする。

 無意識に、 子供が自分に依存するように 試みる。

・子供が腹を立てると、 BPDの人は 激怒し返して、 状況をエスカレートする。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 

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2009年9月13日 (日)

ステップ10 (1)

 
(前の記事からの続き)

*「子供の特別なニーズを 意識しましょう。

 子供の環境を、 できるだけ安全で 予想可能かつ

 支援的, 教育的なものにするため、 早急に手段を講じましょう。」

 BPDの親には、 いくつかのタイプがあります。

 多くのBPDの人は 自分の子供の前では、

 アクティング・アウトする 衝動を感じません。

 でも その衝動を感じても、 意識的に子供を守る 努力をする人もいます。

 あるBPDの人は、 怒りが自分の子供に 影響しないようにしています。

 気分が高ぶったときには、 友人に電話して 来てもらえることになっています。

 BPDの人が 全て悪い母親という わけではないのです。

 一方、 子供に対しても BPD的な行動を してしまう人もいます。

 あるBPDの母親の 娘は、 次のように言います。

 「母は 私の人生の目的は、

 彼女の感情的ニーズを 満たすことだと信じていました。

 孤独や悲しみを 感じたときには、 私を抱きしめて 

 『お母さんのことも 愛しているでしょう?』 と 何度も言いました。

 でも忙しいときや 気を取られているときは、 何ヶ月も私を無視できたのです。

 母は 父を憎んでいたので、 私にも憎んでほしいと 思っていました。

 『良い母親』 から  『悪い母親』 に変わるとき、

 私は裏切られて 麻痺した感じがしたのです。」

 なお、 BPDではない親もまた、

 このように振る舞う 可能性もあります。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 

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2009年9月12日 (土)

ステップ9 (5)

 
(前の記事からの続き)

○自殺

 BPDの人の3~9%が 実際に自殺してしまいます。

 自殺企図をする人は もっと多くいます。

 さらに多くの人が、 自殺の脅しをします。

 non-BPDの人は 自殺の脅しを 真剣に受け止めていると、

 BPDの人に 伝えてください。

 仮に 操作されていると思っても、

 「本気じゃないでしょう」 などと 言ってはいけません。

 自分は本気だと 証明するために、

 自殺企図へと 駆り立ててしまうかもしれません。

 思いやりの 言葉や態度を示せば、

 それで 全ての問題は 解決しませんが、 差し迫った危機は避けられます。

 深刻な状況では 専門家の助けを求めましょう。

 BPDの人は non-BPDの人との 関係が終わったあとで、

 戻ってこなければ自殺すると ほのめかすことがあります。

 non-BPDの人は 相手が死んでしまうと 恐れて留まり、

 BPDの人は 相手なしでは生きていけないと 留まる関係に陥ります。

 これは不健全で 不幸な関係です。

 関係が終わる前に、 このような状況について 話しておくことです。

 専門家に電話すべきと 伝えてもいいでしょう。

 もし BPDの人の 言う通りにすれば、

 BPDの人の命を 救えるかもしれませんが、

 このタイプの 行動を強化し、 再び起こる可能性を 増やしてしまいます。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 

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2009年9月11日 (金)

ステップ9 (4)

 
(前の記事からの続き)

 non-BPDの人は 自傷行為に怯えてしまいます。

 BPDの人との トラブルが引き金だと、 責任を感じてしまいます。

 でも 外的な出来事が きっかけだとしても、

 本当は BPDの人の 内的体験に根ざしているのだと、

 心に留めておくことが 必要です。

 自分を責めないように。

 自傷に対処するために、 次のような提案があります。

・BPDの人に 共感を持ちましょう

 BPDの人が どう感じているか 理解しようと努力していることと、

 BPDの人が 苦しんでいるのを知っていると、 伝えましょう。

・BPDの人が 安定しているとき、 自傷の理由を 理解するようにしてみましょう。

 もっと他の 適応方法を一緒に考えましょう。

 代わりに エアロビクスの教室へ行くとか、 自分で自分を 撫でさすったり、

 ペットの犬と 触れ合うのもいいでしょう。

 赤インクで 自分の腕に 印を付けるのも有効です。

・自傷を強化しないように 境界を設定しましょう

 例えば、 自傷しそうになる前に 友だちに連絡をしたら、

 BPDの人を 安心させるように話をしてくれると 約束します。

 けれども、 自傷している最中や してしまったあとに連絡をしたなら、

 大切に思っていても、 そんな状態のときは 関わらないと。

 これは 友人たちの ストレスや罪悪感を軽減し、

 友情が続く 見込みが高まります。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

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2009年9月10日 (木)

ステップ9 (3)

 
(前の記事からの続き)

○自傷行為

 自傷は BPDの人が 圧倒的な感情的苦痛を逃れたり、

 コントロールしようとするために使う 適応メカニズムです。

 感情的苦痛とは通常、 恥の感情と 見捨てられ恐怖です。

 BPDの人があげる 自傷の理由には、 以下のようなものがあります。

・怒りを表現するため

 BPDの人が 誰かに怒りを覚えたとき、

 その人を傷つけたり 殺したくなってしまいます。

 けれども それが実際にはできないので、

 自分を傷つけて、 怒りを発散させているのです。

 その時はすっきりしますが、 あとになると 恥ずかしくなって後悔します。

・身体的痛みによって、 感情的苦痛から逃れるため

 自傷は 内的な地獄を抜け出して、 肉体を感じる 役に立つといいます。

・自己嫌悪を表現するため

 虐待を受けたBPDの人に より頻繁に見られます。

・生きていることを感じるため

 死んでいるような感覚や、 内面が痛んでいるという感覚を 緩和するためです。

 時として 反対に、 より麻痺した感覚を 得るためのこともあります。

・内面的に感じている苦痛を 人に伝えようとする試み

 助けを必要としていることを、 誰かに 気付いてもらうためにやります。

 あるいは、 「自分を切ると どんなに気分が悪いか 説明しなくて済む。

 見せることができるから」 と言う BPDの人もいます。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

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2009年9月 9日 (水)

ステップ9(2)

 
(前の記事からの続き)

○激怒

 BPDの人は 感情に圧倒されて、

 感情を吐き出すために 荒れ狂わなければなりません。

 大切な人を遠ざけてしまうと 分かっていても、

 自分を保護するための 試みなのです。

 誰かに激怒する時には、 相手はもはや 感情を伴った人間ではなくなり、

 憎悪の対象であり 苦悩の原因でしか なくなってしまいます。

 多くの場合 BPDの人は、 もっと強力な感情 --

 つまり見捨てられ恐怖を 覆い隠すために、 怒りを使っているのです。

 怒りは 恐怖よりも単純で、 BPDの人を困惑させません。

 攻撃される前に 攻撃するのです。

 non-BPDの人は 激怒を容認できないということを、

 一貫して BPDの人に 行動で示さなければなりません。

 そうしないと BPDの人は 怒りが効果があると思い、

 激怒は 強化されてしまうでしょう。

 激怒に対して 個人的境界を設定しましょう。

 一時的に その場を離れることです。

 しかし 怒りの正体は 見捨てられ恐怖なので、

 non-BPDの人がいなくなると

 BPDの人は 脅かされてしまうかもしれません。

 その時は BPDの人に 選択権を与えましょう。

 落ち着くことを選べば、 non-BPDの人は その場にとどまります。

 怒る方を選べば、 その場を去ります。

 選ぶのは BPDの人です。

 境界設定をするのは BPDの人が 安定しているときです。

 去って行った場合も 必ず戻ってくるのだと、 BPDの人に 安心させましょう。

 そして 一貫性の重要さを 覚えておきましょう。

 今日、 怒りを受け入れないと言ったら、 明日も 受け入れてはいけないのです。

〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー/E・ガン (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 

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