2011年12月 6日 (火)

脱おむつ

 
 多くの介護施設で、 おむつを外す取り組みが 進んでいるそうです。

 負担の大きい排泄介護に 正面から向き合うと、

 介護の質全体が変わってくるといいます。

 A子さん (80) は病院で おむつを付けた 生活を続けるうち、

 尿意や便意が薄れていきました。

 ある特養に入所すると、  「おむつを外しましょう」 と言われ、

 不安を感じましたが、 施設の取り組みによって、

 排尿や排便の感覚が戻り、 1週間でおむつが外れました。

 排泄のパターンを調べたり、 そわそわする仕草などから、

 尿意や便意を読み取ったりし、 トイレでの排泄を繰り返すうちに、

 おむつが不要な人が 出てきます。

 これに加えて 同施設では、 ハイテク機器の活用しました。

 「ノム・ ダス・ ハカル調査」 と呼ぶ 3日間の調査です。

 食事や水分量の他、

 おむつの中や トイレで出した 尿の量や、便の重さを 細かく記録します。

 さらに超音波測定器で、 排尿前と後に 膀胱内の尿量を 48時間連続して記録。

 データを元に、 その人に応じた トイレへの案内時間を決めていきます。

 おむつを外す過程で、 高齢者がベッドから離れることが リハビリになり、

 自尊心も回復します。

 そのことが 職員のやる気にもつながるのです。

 排泄を見直すことで、 高齢者の食事の様子や 表情,仕草に 目が向くようになり、

 利用者との会話も増えました。

 加えて、 年間600百万かかった おむつ代や廃棄費用も 200万に減りました。

 快適性を追求することで 高齢者の意欲が高まり、 感染予防にも繋がります。

 排泄は 尊厳に関わる問題なのです。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 

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2011年12月 3日 (土)

口から食事の実践 -- 胃ろうを考える (5)

 
 脳出血で倒れたB子さんは 胃ろうを作り、 特養に入所しました。

 当時は寝たきりで、 栄養は全て胃ろうからでした。

 この特養では  「胃ろう外しプロジェクト」 を行なっています。

 日中は ベッドから車椅子に移り、 胃ろうからの水分量も増やして、

 意識や体の状態の 改善を図ります。

 口からの食事は バナナから始めました。

 経口摂取は3年半ぶりのB子さんは、

 もぐもぐと噛んで飲み込み、 誤嚥もありませんでした。

 食べる量を増やし、 今では昼食と夕食は 口から取っています。

 意識がはっきりし、 言葉も出るようになりました。

 他の入所者も 普通の食事を食べられるようになったり、

 胃ろうを外せる見通しが ついたりしました。

 胃ろうを外せるようになるのは、 せいぜい10%とされます。

 でも プロジェクトに取り組んだ 9人全員が、 胃ろうを外せた施設もあります。

 それらの人は、 元々不要な胃ろうだったと 考えられます。

 急病で入院し、 回復に時間がかかりそうだったり、

 認知症があって 食が細かったりという理由で、 作られたケースです。

 前者は 退院時には外せるし、 後者は 元々必要がない場合が 多いといいます。

 胃ろうにすると 重症に見えるため、 外す努力もされないのだということです。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 

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2011年12月 2日 (金)

栄養状態から 効果を予測 -- 胃ろうを考える (4)

 
 脳梗塞で 口から食べられなくなり、 点滴をしていた男性 (85) は、

 鼻のチューブから 胃に栄養を補給し、 約1ヶ月後に 栄養状態が向上しました。

 胃ろうにした場合の 全身状態の改善が、 期待できる水準と 判断されました。

 胃ろうにする判断の根拠は、  「予後推定栄養指数」 と呼ばれ、

 元々は がんなどの外科手術に 耐えられるかどうかを予測するものです。

 タンパク質の濃度を示す 血中アルブミン値と、

 体の抵抗力を示す リンパ球から算出します。

 この指数が一定以上だと、 その後の生存期間が 長いことが分かったのです。

 胃ろうを作る前から、

 医師, 看護師, 管理栄養士, 薬剤師などによる チームを作り、

 栄養や水分量を調節し、 言語聴覚士による 嚥下リハビリも行ないました。

 男性は 胃ろうを付けて1ヶ月たたずに 口から少し食べられるようになり、

 退院して 自宅に戻りました。

 今は 刻み食とおかゆを 自分で食べています。

 胃ろうで状態が改善しても、

 いずれは意思疎通ができず、 寝たきりなどになる 可能性があります。

 そうなってからの生存期間は、 胃ろうにしなかった時より長い など、

 胃ろうの短所も 説明することが必要です。

 可能な限り適応を考え、 家族にも納得してもらい、

 「患者や家族を 幸せにする胃ろう」 が望まれます。

 将来食べられなくなった時に どうするか、 医師と相談しておくといいでしょう。

 終末期に食べられなくなり、

 老衰のような形で亡くなっていくのは 自然なことだというのも、 ひとつの認識です。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 

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2011年12月 1日 (木)

寝たきり認知症には 効果が薄い -- 胃ろうを考える (3)

 
 胃に直接 栄養を補給する胃ろうは、 栄養状態を改善する効果は 高いとされます。

 鼻から胃に通したチューブや、 血管からの点滴より、

 充分な栄養が取れ、 苦痛が少ない、 口からの食事と併用できる、 などが利点です。

 肺がんで、 誤嚥性肺炎を起こして 入院した女性 (86) は、

 全身が衰弱し、 看取りのために 自宅へ戻りました。

 ところが、 鼻のチューブの栄養によって 状態が改善し、

 入院して胃ろうにしたところ、 床ずれも治り、

 会話もできるようになって 退院したのです。

 自宅で1年以上、 有意義な時間を過ごし、 家族に看取られました。

 胃ろうは 食事の誤嚥も減り、

 長期入院も抑えられるなどの 社会的要因もあって急増。

 現在、 約26万人が使っていると言われます。

 しかし 胃ろうが適切でない ケースもあります。

 鼻のチューブか胃ろうを 使ったあとに亡くなった、

 寝たきり認知症高齢者の調査によると、

 胃ろうなどにしなかった人より 早く亡くなったり、

 肺炎や感染症で死亡する 確率が高くなりました。

 認知症のある寝たきりの人には、 栄養を改善して 延命する効果は薄いうえ、

 亡くなるときは 全身のむくみや肺炎などで 苦しむことが多いのだといいます。

 以前は年に80~90件あった 胃ろうの造設は、

 10年度は50件台になっています。

 欧米では、 「胃ろうに 誤嚥性肺炎の予防効果はない」 というのが 定説です。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 

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2011年11月30日 (水)

薬による嚥下障害 -- 胃ろうを考える (2)

 
 療養目的で転院してきた 86才の女性は、

 CT画像では 脳梗塞の痕跡もなく、 認知症も軽いのに、

 口から食べられないでいました。

 しかし担当医は、 女性が飲んでいる 薬のリストを見て、

 薬による嚥下障害だろうと 見当がついたのです。

 女性は 数年前うつ病と診断され、 精神安定剤など 8種類の薬を処方されました。

 それから食が細くなり、 誤嚥性肺炎を起こして入院。

 嚥下訓練をしましたが、 口から充分食べられず、 医師の勧めで胃ろうにしました。

 しかし状況は改善せず、 転院時は無表情で ほぼ寝たきり状態に。

 転院先の病院では、 8種類の薬を、 別の抗うつ剤1種類だけにしたところ、

 1週間もしないうちに 女性の意識がはっきりし、 会話も戻ってきました。

 胃ろうを使わず 食べられるようになり、

 食べたいものを 要求するようにまでなったのです。

 高齢になると 肝臓や腎臓の働きが衰え、 薬の成分が分解できず、

 そのせいで 嚥下の筋肉が鈍って、 のみ込みが悪くなることが 少なくありません。

 高齢者の嚥下障害の原因を 真剣に探す病院は少なく、

 不必要な胃ろうにしているケースが 多いと思われます。

 認知症の人の調査により、 薬の影響で

 歩行障害や活動の低下、 尿失禁などが起きていることが 明らかになりました。

 眠りがちで 食事も取れなかった人が、 薬の中止で 改善する例があるのです。

 呑み込みづらい原因が何なのか、 確かめることが必要です。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 

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2011年11月29日 (火)

家で看取れなかった -- 胃ろうを考える (1)

 
 「胃ろうにしたため、 母親を家に 連れて帰れなかった」

 A子さんは、 そう後悔し続けています。

 母親は脳梗塞を発症後、 次第に 口から食べられなくなりました。

 医師は 胃ろうにするべきと勧め、

 胃ろうの利点を説明する ビデオを見せられただけでした。

 A子さんはしたくないと思いましたが、 弟はその場でお願いしたのです。

 医師は  「胃ろうにしなければ退院」  という雰囲気で、

 断ることはできませんでした。

 「胃ろうにしないと 施設に戻れない」

 「食べられなくなったら胃ろう」

 そのように軽く考えている 医師がいるようです。

 しかし胃ろうは、 作るのは簡単でも、

 患者や家族の人生に 大きな影響を及ぼします。

 A子さんは、 自宅での胃ろうの処置に 不安があり、

 やむなく母親を 特養に入所させました。

 母親は 胃ろうのチューブを 外すことが相次ぎ、

 結局 自宅に戻れないまま 亡くなりました。

 胃ろうにしなければ、 もっと早く亡くなったでしょうが、

 本人の苦痛はなく、 家で看取れたかもしれません。

 A子さんは、 自分は食べられなくなっても 胃ろうはしないと言っています。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 

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2011年11月28日 (月)

レビー小体型認知症のケア

 
 認知症と言えば  「記憶障害」 という印象ですが、

 「幻視」 が特徴の 「レビー小体型認知症」 は、

 認知症の2割を占めるとも 言われています。

 主な症状は 次のようなものです。

① 幻視 : 実在しない人や動物、 虫などが見える

② レム睡眠行動障害:

  レム睡眠 (身体が休んでいるが 脳は活動している) の最中に

  叫んだり暴れたりする

③ パーキンソン症状 : 体がこわばり、 歩幅が狭まる

 その他、 頭がぼんやりしたり はっきりしたり、

 認知能力の変動が大きい などの特徴があります。

 診断は、 問診にあわせ、 脳血流や心臓の 画像検査も行いますが、

 医師の認識も まだ不充分で、 誤診も多いといいます。

 患者には どう接するべきでしょう。

 幻視は 暗い所などで見えやすく、 多くは 部屋を明るくすると消えます。

 頭ごなしに 幻視を否定すると、

 理解されない苦痛から うつ傾向を強める人もいます。

 幻視が妄想につながり、 混乱を深めることもあります。

 幻視を恐がる場合は、

 何が見えるのか よく会話をするうちに 消えることも少なくありません。

 追い払うような演技が 有効なこともあります。

 恐がっていない場合は、 幻に近づかせると、 大抵は 本人の意識から消えます。

 病気の症状で 幻視が見えていることを、 周りが 繰り返し説明することで、

 本人が幻覚と認識して 安心することもあります。

 レム睡眠行動障害は、 短時間なら 見守るだけで構いませんが、

 長く続くなら 起こすのもいいでしょう。

 ただ、 身体を揺さぶるのは 混乱させる恐れがあります。

 また、 薬を安易に使うと 症状を悪化させる危険があるので、 注意が必要です。

〔 読売新聞より 〕
 

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2011年11月27日 (日)

認知症フォーラム 「あきらめない」

 
 認知症と誤診されやすいものに、 うつ病と 「軽い意識障害」 があります。

 うつ病の人は 受け答えが遅くなるので、

 「こちらの言っていることが分からない」 と 誤って判断してしまいます。

 日付や 今いる場所などを尋ねると、

 認知症の人は答えられませんが、 うつ病の人は ゆっくり聞けば答えてくれます。

 「軽い意識障害」 は  「ぼうっとしている」 と見えやますが、

 肝臓や腎臓, 甲状腺など 身体に問題がある時に 起きやすいものです。

 薬の影響で そういう状態になることもあります。

 興奮して攻撃的になっただけで、 安易に投薬されるケースも 多いようです。

 でも実は 接する側に問題があって、

 腹を立てただけということも 少なくありません。

 原因を突き止めれば、 薬がなくても治まることがあります。
 

 この10年で認知症医療は 大きく変わったと言われます。

 MRIやSPECT (脳血流を調べる) などの 診断技術の進歩もあります。

 薬も 昨年までは1種類だけでしたが、 今年から新たに 3種類が出ました。

 漢方の抑肝散 (よくかくさん) も 不安や興奮を押さえる 効果があります。

 認知症の人には 穏やかな生活環境が必要ですが、 何かを伝えようとしているとき、

 「やめて」 とか 「あとでね」 と軽んじられると、

 不安や孤独を強くしてしまいます。

 じっくり話を聞くなど、 正面から向き合う 姿勢が必要です。

 歩き回る人は、 5~10分でも 一緒に外に出かけると 落ち着くでしょう。

 認知症の人にとって、 自分が役に立たないという状況は、

 大きな心の苦しみ, 悲しみになります。

 家事の手伝いなど、 何か携われるものを 見つけることが大切です。

 できないことに目が向きがちですが、 できることに目を向けましょう。

 認知症の人の心の痛みに 耳を澄まし、 目を凝らすのが、 共感への第一歩です。

 地域住民の支え会いも大切で、

 趣味のグループやお茶会などの 活動を広げることが プラスになるでしょう。

〔 読売新聞より 〕
 

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2011年11月20日 (日)

新しい介護施設 (2)

 
(前の記事からの続き)

 新しいショートステイの仕事は、 まだゆっくりと 少しずつ教えてもらっています。

 ショートステイでは 日々、 入所される方と 退所される方が数人おられ、

 送迎や入退室の対応があります。

 就寝時と起床時のお世話などが、 今までいたデイサービスと 違うところですね。

 前のデイサービスは、 利用者さんの人数が まだ非常に少なくて、

 一人一人と接して 全員を把握していることができましたが、

 今度の所は 1日15人くらいで、 数日ごとに顔ぶれも変わります。

 僕がまだ 利用者さんを覚えていないこともありますし、

 皆さんと接することはできていません。

 前の所では、 利用者さんと一緒に

 買い物に行ったり 昼食を作ったりするのが特徴で、

 日常的な作業が リハビリになるという考えでした。

 でもショートステイでは、

 利用者さんは 数日間お招きするお客さん という立場なので、

 調理や食器洗いなどを 利用者さんにしてもらうことは 余りないということです。

 (食事は厨房で 調理師の人が作ります。)

 レクリエーションなども、

 デイサービスでは 利用者さんが来ている間、 何かを提供するのがサービスです。

 それに対して ショートステイは、 ご家族の用事や休息のために、

 利用者さんをその間 お預かりするのが第一の目的です。

 朝から晩まで レクリエーションなどをしているわけではなく、

 利用者さんは 食堂でただ座っていたり、

 居室で一人で 過ごしている時間もあります。

 今の所は まだオープンしたばかりなので、

 これからサービスを 充実させていくということです。

 利用者さんに キッチンの仕事をしてもらうことなども あるそうです。

 僕も、だんだんやっていこうと思っています。
 

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2011年11月19日 (土)

新しい介護施設 (1)

 
 介護の新しい会社に 入社しました。

 グループホーム, デイサービス, ショートステイ, 訪問介護が併設されている

 多機能施設です。

 その中の ショートステイに決まりました。

 8月にオープンしたばかりの 新しい施設で、 とてもきれいな所です。

 たまたま家のすぐ近くで、 自転車で5分。

 これは非常に助かります。

 昨今 注目されている小規模多機能型施設 〔*注〕 は、

 通い (デイサービス) や 泊まり (ショートステイ), 訪問介護などを、

 利用者さんのニーズに応じて、 同じ事業所・ スタッフが 提供する所ですが、

 ここはちょっと違います。

〔*注: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/62032567.html 参照〕

 グループホーム, デイサービス, ショートステイ, 訪問介護が

 個別に運営されており、 スタッフも それぞれの部署に配属されています。

 ショートステイの定員は20人  (1日の利用者さんは15人くらい),

 グループホームは2ユニットで 計18人、 デイサービスは12人。

 いずれも認知症対応です。

 従業員6000人の 大きな会社で、 全国に事業所があり、

 さらに大きな 介護企業グループのひとつです。

 研修なども しっかりしていると思います。

 前は同族経営の会社で 酷い目に遭ったので、

 今回は コンプライアンスなども信頼できる規模の 会社を探していました。

 そして 各事業所は小規模で 定員が少なく、

 一人一人の利用者さんと 日常生活での関わりが 持てるような所を。

 条件を絞って じっくり探していたので、 随分時間がかかりましたが、

 やっと決めることができました。

 (全ての希望条件を 満たす所は無理ですが。)

 昨日から現場で 勤務が始まりました。

(次の記事に続く)
 

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